白髪林道口白髪線1



 
 口白髪谷。なんと読むのだろう。素直にくちしらが? 冬の瀬のゲートの平場から山肌を縫って口白髪谷の奥へ伸びる支線があった。
 軽く概要を説明しよう。
 冬の瀬のゲートの広場から分かれ、一旦奥白髪谷沿いに進んだあと、ヘアピンで折り返して広場の上へ戻ってくる。それから、本線と並行に集落の中を通ったあと、森へ入り、廃校の上のあたりで再びヘアピンカーブ。少し進んで高低差が開いたら再びヘアピンで元の進行方向へ戻る。徐々に標高を上げてゆき、口白髪谷に入る。口白髪谷の右岸を幾ばくか進むと左岸へ移り、車道と重なりながら南西へ進む。途中、一度車道から離れるが、四度目のヘアピンで東へ進路を変えると、また元の車道へ戻り、そのまま終点まで車道化されている。

 A
 本線と支線の分岐地点である。営林署のゲートの広場である。ここから一旦奥白髪谷沿いに進み、すぐにヘアピンカーブで折り返してきて南東に延びていた模様である。
 ただ、辺りは当時の様子を留めておらず、痕跡は見つけられなかった。
 集落の中を通る軌道跡と思しき道路。
 古レールが刺さっている。
 B
 確実に軌道の跡であると確信できるのはこの山道からだ。
 C
 森に入って間もなく暗渠のある築堤が残っている。
 結構路床が薄い。機関車の入線はあったのだろうか?
 浅い掘割
 D
 築堤。二個目。
 穴が開いて水が流れるのが見えている。
 出発から10分。
 E
 第一ヘアピン到着。
 しばらく左下に今まで歩いてきた道を見ながら進む。
 懐かしい?缶発見のコーナー。アサヒJ.O.コーヒーオリジナルブレンド。肝心の表面は色褪せて真っ白だった。
 二段目進行中。
 F
 築堤三個目。
 結構規模がでかい。山手と谷手の高低差が半端ない。
 築堤は湾曲しており、溜まった土砂がそれをダムのように見せている。その後も口白髪線にはこのようなダム築堤が多数見られる。
 同じところから上部を見上げると、高いところにも石積みが続いている。ヘアピンの三段目だろう。
 案の定、進むに連れて高低差が詰まっていき、もうすぐ水平になりそうだ。
 G
 第二ヘアピン到着。築堤を築いてカーブを作る土地を作っている。
 上と同じ。
 何が何やらであるが、第二ヘアピンの全景。
 右下に二段目を見ながら登ってゆく。
 この辺は雑木を刈り払った跡があるので、人の活動があるようである。
 H
 枯れ沢が路盤を乗り越えている。。少々荒れている。
 その下を見ると、ダムの様と評した築堤の上であった。
 I
 しばらく行くと、木々の間に赤いものがチラッチラッと見えた。
 それは県道の白髪橋であった。途中ジグザグに進んだとは言え、意外と進んでないものだ。まだ学校跡の上の方にいるのかもしれない。
 J
 少し傾斜が緩く、開けた所に出た。石積みが道を塞いでいる。軌道跡ではお馴染みの炭窯だ。なぜか軌道跡には炭窯が多い。
 炭窯の周りには雑多なゴミが落ちていたが、こんなものが落ちていた。のこぎりの刃が取り付けられているから、何かを切断するための道具だとは思うが、どういう動きをするのか分からなかった。もっとも、ゆっくり考える暇もなかったが。今日は半日で終点まで歩き通す計画なのだ。
 K
 開けた所から再び森の中に入る。すると、巨大な築堤が残っていた。長さは15メートルほどだろうか。線内の築堤ではこれが最大の規模になるだろうと思う。
 先ほど築堤をダムのようだと例えたが、先のが早明浦ダムならこっちは黒部ダムだろう。将来、生え出た木に築堤を崩されてしまわないか心配だ。
 なぜかよく埋まっているパイプ。軌道敷にパイプを通していたらしく、いたるところ露出している。そのほとんどが崩落や倒木によって掘り起こされているが。

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