咥内坂トンネル跡

 土佐電鉄の難所を挙げろというなら、咥内坂であろう。伊野町と高知市の境にある峠である。今でも200型など出力の低い電車は非常につらそうだ。
 その昔、この咥内坂にはトンネルがあった。長さ25mにも満たない短いものであったが、なかなか意匠に凝った美しい造りだったそうだ。しかし前後の線形が悪く、通過する車両を選ぶボトルネックとなっていた。また、国道の交通量の増加により、峠の改良が必要になったことなどから、戦後間もなく撤去されている。開削から50年経つが、痕跡を求めて調査したいと思う。1950年頃はこんな感じだった。


探索:2007.5/21



咥内電停より伊野側に少し行った所。なぜ看板の前が少し広くなっているのか、疑問に思ったことはないだろうか? この少し広くなっている部分が旧線跡である。法面が当時の形で残っているのでどこに抗口があったか探すのは簡単であった。


振り返って伊野方面を見る。
この目の前に坑口があったはずである。当時を想像して坑口を書き加えてみた。(画像にカーソルを乗せること)
昔の国道は土電のトンネルの上を通過しており、ココには土電の切り通しだけがあった。


伊野側坑口のあった付近へ移動する。写真は高知方面を撮っている。付近はS字になっており、ボギー車の通過が出来なかったそうだ。


同じ場所から伊野方面。草生しているのが当時の路盤である。この辺の古い石垣は当時の物のようだ。


旧線時代は少し降りたところに信号所があったそうだ。
旧道との分かれ道辺りで新線に合流する。