周志トンネル旧線4

 「ドサンドサンと土砂の落ちる土惨線」などと不名誉なあだ名をつけられていた土讃線だが、それほどひどく荒れているとも思えない。ごくごく普通。年相応といった感じだ。
 ん。地面がずれている?
 地滑りがあったらしい。きれいにずれている。よく踏みとどまったものだ。
 擁壁にはクラックが入りまくっている。こんど南海地震が来たら終わりかもしれない。
 ススキまで生えてきたよ。鎌を持ってきたいのだが、急な斜面を持ち歩くのは危険である。うっかり転んだ拍子に鎌が刺さったら。またあの斜面を這い上がる自信はない。
 やがて大きな谷に出くわした。廃線本でも険しいと解説されていた谷だ。
 結構高いな。午後4時。時間も時間だしここが潮時か。
 と思ったが、いけそうじゃね? 灰色の部分は自然石を積んだ石垣になっている。足場はありそうだ。おあつらえ向きに太い蔓が伸びてるし。
 終わらんよまだ。