 | なぜここから新ステージだと言えるのか。それは、ここで軌道と車道が別れてゆくからである。しかし、その前哨戦として、二つのヘアピンカーブが待ち構えている。 |
 | 実は、既に行く先が見えている。車道の五メートルほど高い位置に線が。これはヘアピンを通過し終えた三段目の部分である。 |
 | 一段目と第一ヘアピン(麓から通算して第五ヘアピン)はどこにあるのか。銅山跡から引き続き車道の下に注意を払いながら進んでゆく。ところで、一部のオンライン地図で、この付近にありもしない分岐や車道が描かれていたり、存在する道が地図に載っていないケースがあるので注意しよう。 |
 | A すると、尾根先にわずかばかりの平場が残っているのを見つけた。 |
 | 降りてみる。車道の造成で土砂が落ちてきたのか、その道中はだいぶ荒れていた。しかし、そこを乗り越えると思わず息を呑んだ。 |
 | 幸運だった。こんな山の中にあるのに、ヘアピンカーブとそれに続く路盤の跡がくっきりはっきり見える。木々が伐採された後、新たに苗木が植えられているのだが、その管理のために定期的に刈払いを行っているらしく、そのお影でこんなにもくっきりとしたラインが見えている。GoogleEarthの2006年の画像だとまだ青々しているので、それからの6年の間に伐採されたようだ。予想外にも、一段目だと思って降りたところは二段目だったようだ。 |
 | 惜しむ点としては、土砂が落ちてきてヘアピンを埋没させている点だ。画像からも斜面に戻っている様子がわかる。 |
 | しかし石積みは無事なようで、お陰でどのようにレールが伸びていたのかある程度想像できた。 |
 | 帰り道は一段目を通ってみることにした。 |
 | 一段目も二段目も特に変わったことはない。下からだと二段目の石積みがよく見える程度。すぐに車道の下へ戻ってきた。 |
 | どこで見たのかは忘れたが、付近に古レールが刺さっていた。 |
 | 車道に戻った。次に二段目を辿りたいのだが、ヘアピンの真ん中で車道に分断されている。この探索は2013年4月のことであり、まだ自動車の通行が可能だった。 |
 | 擁壁の上に見えるラインは三段目。二段目は削り取られている。 |
 | 車道を少し戻り、そろそろ路盤が残っているだろうと予測したところをよじ登った。 |
 | 無事に路盤へ復帰した。 |
 | 付近にはレールが一本だけ残っていた。岩の下敷きになっており、取り残されたようだ。 |
 | 二段目を進行中。間もなく森へ入る。 |
 | ここからは冬の探索である。 |
 | 森の入口はササ類の植物に覆われており、歩きにくいという逆転現象が起きていた。 |
 | B 既に三段目が見えていたこともあり、あまり時間を感じずにヘアピンへ到着した。 |
 | 先端部分。 |
 | 切通。 |
 | そして二段目が徐々に遠ざかっていく。思ったよりも短距離で高低差が開くため、自分が感じるよりも勾配がきついようだ。 |
 | C 脱出。入って出るまでに要した時間は20分ほどだった。 |
 | ここも二段目と似たような景色だ。雪のおかげで見通しは良いものの、その歩みはなかなかおぼつかない。 |
 | ちなみに春来た時の様子はこうである。今思うと、車道が三段目にずいぶん近いところを通っている。造成中に削られなくってよかった。 |
 | 起点側を見る。 |
 | 再び冬に戻る。ゆるい斜面が終わり、路盤は車道の真上の狭いところに入った。本当に、車道建設の際に潔く削られていてもおかしくないような場所だった。わざわざ残したのだろうか。 |
 | D ここは異常に歩きやすかった。理由は後に明らかになる。 |
 | 更に進んだところで、ササ類の植物に遮られ、進めなくなる。 |
 | そこで下を見ると、明らかに道がある。 |
 | そう、営林署が作った道である。三段目の路盤は山の男が仕事のために維持しているようだ。 |
 | E 残りの部分は車道から見上げても伺い知ることができない。 |
 | また、車道自体が既に高低差をかなりの勢いで詰めてきており、次のカーブを曲がったところで軌道の痕跡は削られて無くなってしまった。車道はこれ以降もこれまでにない急勾配で斜面を登り始め、軌道跡を完全に置き去りにしてしまう。軌道跡は車道の下に移るが、焦らず慌てずこれまでどおりのペースで更に奥地を目指している。 |
 | 背後。 |
 | さて、車道の下に移った軌道跡だが、しばらくは車道の造成によってその痕跡を失っている。降下できそうな場所を探して車道を歩いていたが、勾配がきつく、少し歩いただけで大きな高低差が生まれてしまう。 |
 | しばらく行くと、背後にハゲた斜面が見える。ヘアピンカーブのあった伐採の跡地である。ヘアピンカーブはだいぶ下なので写っていないが、斜面の中ほどに石垣が残っているのが見えた。作業所かなにかがあったか、廃村だろう。これがこう見えたら行き過ぎなので戻ろう。 |
 | この林道は急傾斜を無理やり削って作られているので、自然なままの斜面が少ない。コンクリートウォールの切れ間を探し、どうにか降りられそうな場所を見つけた。 |
 | 当然だが、道がついているわけでもない。滑り落ちるように谷底を目指した。 |
 | 数分後、あやすい平場に辿り着いた。 |
 | F 来たぞおおお。 |