西の川林用軌道跡4


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 前回、第2インクラインの下に辿り着いた。今回はこれの頂上側、そして中部軌道を目指すのだが、第1インクラインと比べて遥かに勾配がきつく、直接登っていくのはちょっと無理かな? そもそも下半分は林道が通ったせいで地形が変わっているようだ。なのでここは林道ワープする。
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 林道ワープ一回目。すぐ真上のヘアピンの横である。昔はここが車道の終点だったらしく、新しい地形図だと車道は先まで描かれているが、古いのだとここで終わっている。GoogleMap(左)は更新されていないのか、古いままになっている。インクラインはこのすぐ真横を掠めている。岩の間、矢印のように走っていたと思われる。石積みが残っている。

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 軌道と直接の関係はないが、右の方に水門が写っている。この下には大保木発電所への水路が走っている。上の画像でインクライン跡の手間が橋台状になっている(矢印が被さってやや見辛くなっているが)。最初、水路を通すために壊して石を積み直したのかと思ったが、調べてみると大保木発電所は昭和3年に竣工したもので、住友共同電力で最古の発電所だそう。軌道の完成は昭和10年らしいので、元々あった水路を跨ぐために橋を架けていたようだ。
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 インクライン跡を見上げる。中が溝状になっているのは何でだろう。この中にレールが敷かれていたのだろうか。それとも元々平らで中の土が流出したのだろうか。それともまさか、右の一段上に線路があったとか? 線路幅約70センチなので、敷けないことはなさそうだが。
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 インクライン跡の石積み。右に写っているのは水門の屋根。
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 頂上側を見ると石積みが行く手を塞いでいる。あれは西の川林道の路体だ。第二インクライン跡の辺りを言ったり来たりしながらあそこまで登っている。インクライン跡も相変わらず坂も急だし、ここもワープだな。
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 ワープ完了。林道からインクライン跡を見下ろす。
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 道の反対、頂上側。最近伐ったのか大きな木がなく、地面の様子が見やすくなっている。ちなみに写っている看板画像は登山道の案内。
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 別角度から見る。急角度だが大きな岩だとか地面の凸凹がなく、起伏の少ない地面になっていることがわかる。インクライン跡だということの裏付けだろう。この斜面は登れそうな感じだったが、すぐそばで登山道画像がオイデオイデしていたのでつい楽な方を選んでしまった。まあ見た目にも、あったとして石積みくらいしかなさそうだったし。
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 登山道進行中。昔の写真に写っていた女学生たちもこの道を進んだのだろうか。インクライン跡に近づくところでは念のため遺構がないか気にしながら歩いたが、想像以上に急な坂で、途中からそれどころではなくなった。
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 登山道は何度か蛇行した後林を出た。
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 こここそ第2インクラインの頂上であった。立派な石積みが残っている。軌道はここで右へ急旋回。石積みはそれに沿って曲がっている。
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 出口側から見たところ。カーブしているのがわかりやすい。
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 一応インクライン跡を見下ろしたところ。木ばっかりだな。やっぱり斜面に遺構はなさそう。
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 巻き上げ機はこの上にあったのかな?
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 上へ登ってみると、小規模な石積みと、その前が少しの平地になっているようだった。ここでいいと思う。
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 巻き上げ機跡(仮)から第二インクライン上端を見下ろす。
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 インクラインを通過した軌道はなおも上流側へ。インクライン跡から中部軌道側を見たところ。なんかえらくさっぱりした風景になっている。
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 さっぱりというか、明らかに軌道跡の雰囲気ではないが、これは一体・・・・
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 地面がなくなったんだが。何かの災害の跡か何かだろうか。それとも林道をつけるために削ったのか。中部軌道は出発早々地面ごと消え去っていた。眼下に見えるのは西の川林道(自動車道)の続き。
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 左は同じ地点から第二インクライン跡を振り向いたところ。こちら側は地面こそ残っているが、重機に蹂躙されてぐちゃぐちゃになっている。
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 家に帰ってから空中写真を確認したが、この2001年の空中写真だと、この頃までは軌道跡は現存していたように見える。黄で示したのが今の林道である。周りには多数の枝道が見える。その内、緑で示したのが軌道跡と思われる。と言ってもブルドーザーで雑に拡幅され、軌道時代の姿を留めてはいなかっただろうと思う。今はおそらくペケ印あたりで途切れている。なぜこうなっているのかまでは流石にわからない。
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 下の車道に降りてさっきの場所を見上げたところ。これには苦笑いするしかないね。
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 一応軌道の続きを目で追ってみる。画像の上2/3辺り、日陰の境より少し上を走っていたはず。
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 更に右に視線を移してゆく。この辺はうっすらラインが見える気がする。ひょっとしたら飛び石的に路盤が残っていたりするかも? と言っても、それは上記の通りブル道に改造された姿であって、軌道時代の形は留めていないだろうが。
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 やがて西の川林道と交差することになるが、もちろん周囲に痕跡はない。
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 反対側。軌道は車道の下へ。西の川林道はこのすぐ先で ヘアピン画像で折り返し軌道から離れていく。これ以降軌道と並行する車道はなくなる。
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 ヘアピンの先から斜面の下を見下ろしたところ。林道造成の影響か痕跡は見受けられないが、過去にはこの画面内を確実に軌道が走っていたはずだ。上記の通り、林道はヘアピンで明後日の方向へ向かっていくので、ここからはこのヤブに突入するしかない。



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