大古味林道島の川線と島の川林道



 大古味林道島の川線と島の川林道。ややこしいが、この二つは別の路線である。大古味林道は旧東津野村の大古味の土場から始まる路線で、島の川林道は旧大野見村の島の川沿いに伸びる路線である。島の川林道を知ったのは、森林管理局に林道台帳を閲覧に行ったことがあるのだが、そこで「島の川林道」というページを見つけたのがその時だったかと思う。確かSNAKE氏のサイトには、この林道の名前はは載ってなかったはずだ。それで、その時は少し戸惑ったのだが、後に牛馬道だと聞いて合点が行った(「森の轍」は牛馬道など2級に満たない路線は対象外としている)。本来ならそこで「ふ〜ん」となり終わるはずだったのだが、この二つが山を越えて繋がっている点に興味深さを感じた。魚梁瀬のように大規模な路線だと、別の路線と繋がることもあるだろう。しかし、それほど大規模とはいえない二つが連結されているのは珍しいのではないだろうか。山越えをしているということは、峠があるということだ。山の反対は逆勾配になるので、動力が必要となり、輸送コストが跳ね上がるだろう。あえてそれをしているということは、そうまでさせる何かがあるに違いない。ちょうど伊尾木が一段落ついた頃で、こうやって安直に次のターゲットが決められたのだった。

1.大古味の土場からA地点

 国道439号線より一段下がった所が土場跡だと思われる。現在は農地になっている。軌道は土場を出るとすぐに北川川を渡っていた。軌道跡には車道橋が架かっていたが、平成24年に新しく架け替えられ、橋台だけが残っている。地理院地図ではこの変化が反映されておらず、大古味橋とある。以下の二枚の写真はその橋の上から写したものだ。

 川を渡ると一旦上流側に折れ、すぐに折り返して下流側に進む。どうしてそうなっているのかと言うと、ヘアピンカーブになっているからだ。斜面の崩落で半分ほど埋まっているが、河原に降りると立派な石積みが残っているのが見える。ヘアピンに合わせ、石積みも弧を描いている。

 ヘアピンを抜けた軌道跡は、ほんの僅かな距離現れた後、大古味橋跡の真正面で途切れていた。車道化の際に削り取ったのだろう。

2.AB間

 軌道跡は車道化されている。舗装されているが、最初の曲がり角までである。自分の辿る島の川線跡は直進のダートである。右へ曲がる舗装路も支線の跡なので、いつか調査したい。

 入り口の看板が示すところ、現在は下大古味林道というようだ。比較的轍がしっかりしており、通行にはさしたる心配はない。途中集落か段々畑跡の石積みが残っている。軌道の痕跡はこの区間には見受けられない。

3.B地点

 下野々川に橋が架かっている。その少し手前、よく見ると川手に石積みが突き出しているのがわかる。橋梁跡である。

 橋台は両側とも残っているが、起点側は大きく損壊している。終点側は大したダメージはなさそうである。

 軌道はUターンして下流方向に戻っている。だが、残っている路体と橋台には少し無視できない高低差がある。たぶん、下図のオレンジ線ように、一旦上流側に行ってから折り返していたんだろうと思う。

4.BC間

 初めは状態が良くないが、C地点に近づくと段々落ち着いてくる。ヘアピンの間なので、時折斜面の上方に石積みを見ることが出来る。途中、古びた水路と交差する。橋台的なものがないので後年造られたもののようだ。しかしコンクリートではなく石積みで造られているので、そこそこ歴史がありそうである。

5.C地点

 開始からわずか1時間ほどだが、早くもこの路線の最大級の遺構であるヘアピン跡にたどり着いた。表現するなら、巨大な石の城である。ビルの3階か4階に匹敵するのではないかと思うほど高い石積みが残っている。崩れにくくするためか、二段重ねの構造になっている。カーブを曲がりきると浅い切り通しがあった。

6.CD間

 CE間は全体的に荒れ気味で、切り通しを抜けた直後から急に状態が悪くなっている。

 途中、B地点の真上からは橋が見えた。意外に高いところを軌道が走っていることを知った。D地点の谷には橋が架かっていたようだったが、橋台は崩壊して残っていなかった。

7.DE間

 特筆すべき点はない。

8.E地点

 E地点で林道に飲み込まれる。

9.EF間

 EF間は完全に林道に重なっており、痕跡はなさそうである。B地点より先へは自動車での進入が出来ないため、かなりの距離を歩く必要がある。

 F地点の少し手前から、対岸に石積みを確認できる。これが見え始めたらF地点は近い。

10.F地点

 F地点にて下野々川を渡り、車道から離れて本格的に山間に入る。AB間が第一ステージ、BE間が第二ステージ、EF間が第三ステージと言った所。橋台は、起点側は既に影形なく、対岸に見える橋台もも大きなダメージを受けているのを確認できる。



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