安居林用軌道安居線11


 しばらく行くと、またも岩盤がむき出しになっているところがあった。ただ、こちらは元々こうなっていたのではと思う。
 そしてまた少し行くと、突然地面がなくなってしまった。
 4,5メートル下に地面が見え、少し向こうに橋台が見える。ココも桟橋だったらしい。周囲は断崖絶壁で、下りられそうなところが近くにない。ここが潮時で、引き返さなくてはならないのだろうか。
 不思議と道が繋がった。近くに太い蔓状の植物が伸びており、これをロープがわりに降りてこられた。下りてから気づいたが、下部はオーバーハングしており、ここをよじ登るのは困難が伴うだろう。つまり、退路を断たれたことになる。もはや行き抜けるしか生還の道はない・・・と言うと大袈裟かもしれないが、とにかく一筋縄でいかないというのは確かだ。
 対岸の橋台。
 まるで城壁のようだ。
 次々と橋の跡に出くわす。結構頻度が高い。
 橋の構成材らしき丸太が落ちている。
 切り通しを抜けると・・・・
 A
 また橋。
 美しき仁淀ブルー。
 橋台は崩れている。
 行く先に切り通しが見える。
 ・・・の手前は桟橋になっていたようだ。
 そこから間もなく、崩落現場に差し掛かる。
 B
 そしてレールの残るヘアピン跡。
 切り通しは崩落で埋もれている。
 結構うず高く積もっている。
 そして崩落の上部へ。下部を歩いているときは上段の路盤の存在に気づけなかった。
 そして切り通し。
 謎のアンカー。
 埋まっている切り通し。
 C
 鬱蒼とした所につく。ここは伐採地だったらしく、激しく植生している上に捨てられた大量の丸太が散乱していた。
 やがて、人工的に作られた広場にたどり着いた。
 お釜が落ちていた。
 D
 そこを過ぎると川を渡っている。
 対岸の橋台。
 起点側の橋台。
 左岸に渡り更に奥へ。
 と思ったらさらに別の橋台がすぐ上流に残っていた。
 起点側は崩れて原型がない。
 下流の橋台とは目と鼻の先。
 軌道はまた来た方へ引き返しつつ上ってゆく。ヘアピンを描くために川を渡っていたようだ。
 上段にも平場が続いている。
 レールの刺さった人工的な構造物が残っている。ここが索道の駅だったのではないかと思ったが、根拠となるものは見つけられなかった。
 伐採地を過ぎて森に戻ると、切り通しがいくつか現れる。
 E
 これは比較的深い。
 振り返ってびっくり。切り通しが二つ並んでいる。外側のは旧線だろう。
 桟橋だったらしい場所も幾つもあった。そこには伐採地へ向かう山男たちが作ったらしい木橋やはしごが残っていた。ありがたく使わせてもらった。
 F
 この近辺では比較的状態の良かった部分。標高1000mに近いこの付近は、南国高知といえども大雪が降ることも珍しく無い。この日は三ヶ月前に降った雪が溶け残っていた。

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