一の谷林用軌道岩茸線その2
上陸地点に戻り、上流方向を目指す。こちらもスズタケっているが、すぐなくなる。
割と早々に嫌な場面に出くわした。路体が欠損している。右も左も断崖である。上陸地点に戻り、別の所を登り直せば良いものの、カバンに仕舞った胴長をもう一度取り出して着直すのが面倒くさい。
足場は存在していたので、一考の後、正面突破を敢行。かなりヒヤヒヤしたが通過できた。思い返してみると、岩茸線で一番難しい所はここだったと思う。
その先も引き続き断崖沿いの道が続く。
やがて傾斜がゆるくなり、樹林帯へ入る。伐採跡なのか、途中に杉の木がなく明るい所があるが、程なく杉林に戻る。
沿道には石垣や謎人工物があったので、集落や作業小屋でもあったのかもしれない。
浅い溝状の切り通しを抜けると、
そこ橋台が残っている。水は流れていない。雨のときだけ現れる、雨裂とかガリとか言うやつ。
起点側の橋脚は高さが低い。状態は良い状態で残っているように見える。が、上の段が崩れているようにも見える。終点側は、上の写真では良い状態に見えたが、角度を変えて見たら、角が崩れてきている。
引き続き進んでゆく。斜面はまた傾斜が急になってきた。それに川の音が遠くなってきた。標高も上がっていっているようだ。
途中、山道が分かれていた。これは渡れなかった吊橋の反対側の道だ。
対岸を見ると、県道のガードレールが見える。駐車場所もあの辺り。愛車が米粒のように見える。吊橋はここの下の方で見えていない。
沿道に養蜂箱が設置されていた。吊橋が落ちる前に設置されたのだろうか。それにしては綺麗だ。自分と同じように川を渡ってきたのだろうか。
これは三回目の調査(2021年)のときの写真。一回目が2020年3月、次が10月。三回目は2021年4月。だから季節が違う。ちょうど養蜂箱が設置されている所が長い直線になっていた。
石積み。
尾根先を周る。ここまでは瀬戸川沿い。ここから先は支流沿いに入る。
曲がった先。瀬戸川沿いに比べ、やや風化が進んでいるように見える。斜面の方角が変わったせいか。
すぐ近くに裏返った看板があった。新しい感じなので軌道とは関係なさそうだが、内容が気になるのでひっくり返してみた。やはり軌道とは関係なく、
発破作業のお知らせとあった。看板は二枚重ねになっていて、一枚を起こすと下から
もう一枚
が現れた。二枚一組だったようだ。内容を読んでみると、近くの山で林道を造成中らしい。よく見ると、工事の発注元が本山営林署となっている。確か今は嶺北森林管理署と名前を変えているはず。それで調べてみると、どうやら平成11(1999)年に改称したらしい(参照)。少なくともその頃までは通行禁止ではなかったようだ。
看板をもとに戻し先へ進む。谷越えの築堤があったようだが、山手の方は土砂に埋まっている。
その後、岩を削り取ったようなところを少し走る。こういう所は地形の変状も少なく、ハイキング気分で歩ける。
ま、すぐに現実に引き戻されるんだけどね。状況がかなり怪しくなる。
藪化している。しかも長い距離続いているようだ。
藪に突入。するとそこは大崩壊の跡らしく、路体が消失していた。するとそこに伝説の剣レールが突き刺さっていた。
高さは5センチ程度。ビリっかすの6キロレールだな。
なお斜面をゆく。
すると石積みの横に出た。上下の見当が外れてだいぶ下の方を歩いていたようだ。
よじ登って軌道跡に復帰。何やら幅が広い。交換場所でもあったのか。
この広場にもレールが残っていた。他に曲がったレールも見た。
更に上にも石積みがあるのに気づいた。こんなところに集落跡だろうか。いや、自分が好きな"アレ"かもしれない。
進んでいくと、石を円形に積んだ跡があった。これは炭窯だな。
撮影:4月
進んでいくと、軌道は右へ急旋回。やはり嬉しいアレがあったようだ。石積みはつづらの2段目だな。これは事前情報になかったので、嬉しい発見だった。
ヘアピンはあいにく、1/4周曲がったところで埋まっている。
ヘアピンを埋めているのは、苔の付いていない白い石と枯れ葉や枯れ枝たち。水の作用で運ばれたことは明らかだ。元々は溝状の掘割になっていたと思うが、2m程度の土砂で埋めたてられている。
ちなみに左の石積みはヘアピンの三段目の路体でもある。ヘアピンと上の段(もしくは下の段)がこんなに近い所は今までになかった。すんごく近い。
一段目の平場を見つつ進む。真ん中の窪地は炭窯。
第2ヘアピンに辿り着く前に激藪区間が現れた。
と思ったら、その後すぐ斜面に出た。崩壊地の上に差し掛かったようだ。
ふと左を見ると、溝状の切り通しが続いている。どうやらヘアピン跡を巻き込んで崩落しているようだ。幸い、隅っこが1/4ほど欠けただけで済んでいる。
つづらの3段目。1段目や2段目より良い状態。復路で気づいたが、つづらの手前から直接3段目にショートカットできるようになっていた。それで道がしっかり残っているようだ。
第一ヘアピンを下に見る。さっきも書いたが、上の軌道沿いから真下にヘアピンが見える(あるいはその逆)は初めてだ。両方のヘアピンがそんなに離れていない(=あまり比高を稼げていない)からだ。
第一ヘアピンを見下ろす。
軌道はなお奥へ続く。
廃線メニューに戻る サイトトップに戻る