 | 宝来荘を過ぎ、乙女河原と若山橋(確か)の間の比較的長い直線道路に出る。紅葉谷あたりと比べると、川との高低差が詰まっているのがわかる。また、左手の山が、渓谷内にしては比較的緩やかであることに気付く。軌道はここで、四回ものヘアピンカーブで方向を変え、詰まった標高差を一気に突き放していたのだ。 |
 | A 第一ヘアピン付近は車道化によって痕跡を完全に失っている模様である。近くにスクールバス停留所があり、その広場が第一へピンの跡地ではないかと思う。また、道路の山手の斜面には場違いな落石保護網が設置されている。かつて大規模な崩落でもあったのだろうか。これらの重装備によって、二段目の路盤についてもかなり長い距離で痕跡が失われているようだ。 |
 | B 二段目の痕跡は、直線道路を半分ほど戻った斜面の途中から復活する。実際の所、下から見上げても軌道跡は見つけられなかったので、途中の廃遊歩道を登って軌道と交差したところから遡ってきた。写真は第一ヘアピンの側を写している。 |
 | こちらが進行方向。 |
 | 第一ヘアピンと第二ヘアピンの間は距離が近い。早くも三段目が見えている。 |
 | しかし、ヘアピンの手前が崩落しており、上下の感覚が狂っている。うっかりすると、いつの間にか上の段を歩いていたり、路盤を外れてしまう。 |
 | C 第二ヘアピン到着。 |
 | 掘割が見える。 |
 | 石積みが残っている。 |
 | 深い掘割が残っていた。 |
 | 二段目よりも三段目のほうが状態がよく見える。 |
 | このパイプは見覚えがある。 |
 | 二段目で見たものとひと繋がりのようだ。 |
 | D パイプを過ぎると路盤は消え、砂を流したような斜面に出る。。 |
 | やはり地すべり災害でも起こしたのだろう。廃線歩きでは非常に嫌われるシチュエーションだ。日を遮るものが無いため、藪化してしまうのだ。 |
 | E 百メートルほどの距離に二十分も費やして反対側の路盤に辿り着いた。時速一キロも出ていない。恐ろしや。 |
 | そこは若山橋の上の方だ。写真の中央左辺りに赤い橋が見える。 |
 | 起点側はこうだ。ちなみに本では何故か、四連ヘアピン周辺のことについては簡単な地図が載っているだけで触れていない。その地図にも少々ズレがあるようだ。 |
 | 進行方向へ目を向けると、軌道は森のなかへ入ってゆくようだ。 |
 | 少し進むと遊歩道と交差する。先に歩いた遊歩道とは別のものだ。画像右から左奥へ続く踏跡がそれである。軌道跡は正面の藪の中だ。 |
 | 遊歩道から空き缶が投げ捨てられるらしく、軌道跡には懐かしい缶たちが多数落ちていた。古い銘柄やプルタブ式(タブが完全に缶から分離する)の缶が多数を占めることから、この遊歩道が賑わっていたのは90年代全半より前だと思われる。新しい缶だけを拾っていく人間がいれば別だが。 |
 | F それから間もなく、第三ヘアピンに到着する。 |
 | コーナーの出口には比較的深い切通。 |
 | それから先ほど見上げた遊歩道と合流する。ここから先の軌道跡は遊歩道になったらしい。 |
 | G やがて森を抜け、崩落の上部に出る。石垣が歪んでいるため、人工的に作られた斜面ではなく、自然に地すべり等を起こした結果なのだろうと思う。整備もあまり行き届いているようには見えないし、この遊歩道も廃道なのかもしれない。 |
 | H 少なくとも崩落後にも遊歩道だった時期はあるようで、崩落斜面の中にも階段が付けられていた痕跡がある。 |
 | 地滑りのせいで高度的にずれがあり、当時の様子を想像しにくくさせている。 |
 | I そのまま進んでいくと、木造の建物が二棟ある。これはバーベキューサイトである。このゆるい斜面は観光開発にちょうどよかったらしく、十数棟のバンガローと二箇所のバーベキューサイトが作られている。ここはそのひとつだ。軌道はこの前の道路を横切って更に高い所へ行っているはずだ。 |
 | 少しの間道路に重なる。 |
 | この掘割はおそらく当時からあるものだろう。 |
 | J やがて道路は急な勾配で下り始める。ここから軌道が別れているのだろう。左手の建物はバンガローのであり、それぞれオオルリとキジと名前がついている。 |
 | バンガローの前の斜面をよじ登ると再び路盤が現れる。 |
 | 下を見るとバンガロー。あれはきっとキジだろう。安居渓谷のバンガローには、それぞれ鳥や植物の名前が付けられている。 |
 | 第四ヘアピンの手前は完全に自然に還っているようだ。太陽を遮る樹木が無いため、激しく藪化している。 |
 | そんな中にも、誰かが一度通ったような一筋の道がある。獣道か。 |
 | しばらく行くと、バンガローの敷地から外れたらしく、再び樹林帯へ入る。 |
 | そこで右を見ると、石垣が続いていた。第四ヘアピンを通過した五段目の部分であろう。 |
 | K その通り、まもなくヘアピン跡地についた。 |
 | しかしそこだけ樹木が生えておらず、ちょっとした藪になっている。更に小規模な崩落が起こっており、路盤の半分を埋めていた。 |
 | しかし、カーブの外側には石積みが残っており、ここがヘアピンだった事を伝えている。 |
 | 少し道を戻り、上段へ這い上がった。写真はヘアピンの側を写している。浅い切通があったと思うが、土砂に埋まっている。 |
 | 同地点から進行方向。 |
 | L バンガローからの距離と同じぐらいの距離を歩くと、またも道路に出る。バーベキュー棟の横の道と同じ道である。この道路もジグザグヘアピンカーブを繰り返しながら登ってきている。 |
 | ここから出てきた。モミジの木の横である。 |
 | この道路はこの付近に水平なところが無いため、路盤はすぐに山の斜面に現れると思い、注意深く見上げながら進んでいった。するとすぐに誂えたように階段が現れた。 |