伊尾木林道小川線跡4


 ここが玄関のようだ。何百人もの人々がこの土間を踏んで出入りしていたのだろう。古い写真を見ると、両岸に合わせて5,6棟の建物があったようだ。事務所や購買以外にも幾つかの施設があったと思われる。ひょっとしたら、職員住宅なんかもあったのではと思う。
 建物の裏手部分。池のようなものがあった。鯉でも飼ってた?
 その奥にも小さな水槽のようなものがあった。便所跡かな? なら、大きい方は供用風呂か。でも、地面からの高さがないしな・・・・やっぱり鯉池かな。
 レンガを積んだ謎の構造物。焚口に見えなくもない。
 めぼしい物はほとんど回収・撤去されたらしく、期待したほど興味をそそるものは見つけられなかった。そんな中、少し目を引くのがこの塀のようなものだ。なぜこれだけ解体されず残っているのだろう。記念碑の代わりかね。
 落ちていたガラス瓶を意味もなく立ててみる。
 IKARI SAU・・・・イカリソースかな? 購買の売り物だろうか。あるいは食堂で使われていた? ガラス瓶となると、昭和30年代以前のものだな。
 軌道跡より事務所購買跡を見下ろす。
 同じく塀。瓶は貴重かもしれないので下に下ろした。
 広場を横目に先を急ぐ。間もなく折り返しがあるはずだ。
 欠損箇所が1ヵ所。谷の水で湿っている。
 そして橋の跡。小川川に架かる二番めの橋だ。ここが折り返し地点であり、左岸に戻って標高を上げながら下流方向に進んでいる。
 河原から見る橋の跡。
 起点側の橋台。
 こちらは終点側。崩壊著しい。
 崩れた橋台の一部だったもの。目地にはコンクリートが使われている。戦後開かれた路線なので、施工がいくらか近代的なようだ。
 崩れた橋台を登る。崩れた石垣が階段状になっており、案外登りやすかった。
 登るといきなりコレが目に入った。多分、ここの撤去品だろう。
 枕木には犬釘が残っていた。犬釘としての役割を果たしていた期間より、こうやって放って置かれた期間のほうが長いだろう。けなげ組に入れてやりたいところだ。
 すぐ後ろが橋の跡になっている。
 二段目(ヘアピンとヘアピンの間)を進む。欠損箇所が多く状態が悪い。
 小さな切り通しがあったが、多くの木が倒れかかって姿を隠している。
 途中で道がふた手にわかれた。左はゆるやかに登っており、右は急速に下っている。左が起軌道跡で、右へ行くと前ページのG地点に通じてるのだろう。
 少し進むと、右の道はあっという間に下界に消えていった。
 更に少し行くと、大根でも干していそうな大きな木の桟があった。また路肩を守っているものだろうと思い、気に留めずに進もうとしたのだが・・・
 なんの気なしに左を見るとすでに三段目が間近に迫っているのに気づいた。前触れもなく突然現れたので、どういう状態なのかとっさに理解できなかった。
 よ〜く見ると、向こうの斜面に橋台が残っていた。ヘアピンカーブを作るスペースを稼いでいたのだった。
 橋台の上から。
 川を渡った軌道は滝壺の内側のような所を半周している。
 水は暗渠の中を流れていたと思うが、すっかり崩壊している。
 ヘアピンの出口と入口では2mほどの高低差がある。ちょっとした高さでも、鉄道にとっては貴重な"稼ぎ"だ。
 ヘアピン部分全景。
 中段と上段は急速に高低差を広め離れてゆく。
 そしてこの切り通しで向きが変わり、完全に離ればなれになる。
 古い伐採の跡地なのか、空がよく見える。
 この斜面は荒廃が進んでいる。
 築堤も破壊されている。
 そんな所に、何故かタイヤ。
 何のタイヤ? どこからタイヤ? 軌道跡を自動車が走ってきたのか??? んなまさか。

前ページ  目次  次ページ